JTを覆う闇の正体
さて、昨日アップした記事「タバコ株に明日はあるか」の第二弾として、日本を代表するタバコ株(2914日本たばこ産業)を取り上げたいと思います。
旅する投資家も201株を保有するお気に入り銘柄。しかし、この三年余り株価は長い長い下落トレンドを辿ります。
<日本たばこ産業の5年チャート>
<日本たばこ産業 配当推移>
配当推移は見事な連続増配継続中。今期(2019年)も増配予定ですが、投資家の疑念はここではありません。配当以外に株主優待まで準備してくれて、まさに至れり尽くせり。
本題はここ。
<日本たばこ産業 2019年第二四半期財務諸表>
過去に新興国のたばこ企業のM&Aで積み上げた「2兆円に迫るのれん」が株価低迷の元凶であると言われています。
M&Aを行う場合、買収先企業の純資産価値を上回る買収金額となるのが普通です。これを特に「負ののれん」と称するわけですが、日本たばこの場合、負ののれんに減損リスクがあるとささやかれています。
日本たばこが生み出す年間の営業利益は5000億円ほど。万一、減損処理が発生した場合、あっという間にその利益を吹き飛ばす威力があるのです。では、背景には何があるのでしょうか。
ここ数年、米国の利上げによって世界のマネーは米国を目指し、新興国は通貨安(ドル高・自国通貨安)に悩まされてきました。
こうした国々は国家、企業を含めて資本が脆弱な傾向にあるため、ドル建て負債に頼るのが普通です。米国の利上げによって、高いドル金利で借金せざるをえず、インドのように金融危機につながりかねない国もあります。
話を戻すと、日本たばこは連結対象(のれん)となる新興国の企業において、この資産の「減損リスク」の時限爆弾が仕掛けられているわけです。配当利回りが7%に達しても、買いが入らない背景にはこうした事情があります。
※2019年度第二四半期プレゼン資料においても、新興国通貨安により海外たばこ事業は「減益」となっています。
※そうそう、今年話題になったM&Aの減損にはこんなニュースもありましたね。
RIZAPグループ、無配に※2/26日本経済新聞
子会社の業績不振が続き不採算事業の撤退や減損損失など多額の損失を計上。
さて、現在の配当利回り7%を買いと見るか、売りと見るか。投資家の洞察力が問われる場面にきていますね!
9/6現在 2019年 年間配当金見込額 240,230円(為替影響修正後)
内タバコ株セクター 32,441円