日本の産業構造は大きく変化する兆し(藤田勉)
【3日 日経マネー研究所 藤田勉】
日本の産業構造が大きく変化しようとしている。総合型電機メーカーや伝統的な企業が凋落(ちょうらく)する一方で、世界的なシェアを持つハイテク企業が台頭している。特に、今後、最も成長性が高い分野であるAI、あらゆるものがインターネットにつながるIoT、5G(第5世代移動体通信)に関連したデバイス(電子部品)において、世界をリードする企業が台頭しつつあることに注目したい。ファクトリーオートメーション(FA)のセンサーは、工場や物流のIoTに不可欠であるが、キーエンスはこの分野の世界のトップ企業である。ソフトバンクグループは、英国の半導体設計会社アーム・ホールディングスを買収し、成長著しいIoTのデバイス分野に参入している。2月末時点でキーエンスの時価総額は5.4兆円、ソフトバンクは9.2兆円で、10年前のそれぞれ1.4兆円、3.2兆円から急増した。
村田製作所は移動体通信用の電子部品、日本電産は自動運転やロボットに欠かせない小型モーターにおいて、それぞれ世界トップである。世界でもトップクラスの技術を持つ東京エレクトロン、信越化学工業、ルネサスエレクトロニクスなど半導体関連企業も急成長している。
電機だけではない。小売業でも百貨店やスーパーマーケットなどの大型小売店が衰退する一方で、ファーストリテイリング、ニトリホールディングス、楽天などの新興企業が成長している。サービス業でもリクルートホールディングス、ヤフーは積極的な企業買収などによって成長を続けている。今や、ファーストリテイリングの時価総額は、三井物産、三菱地所などの名門企業よりも大きい。
藤田氏は企業の時価総額に着眼して、産業構造の変化について述べています。
なるほど、昨今の投資テーマに合致した企業は、いずれも時価総額が大きく伸びています(買われている)。こうした動きは、日々の株価変動を追っているだけでは、なかなか気づきにくいものです。しかし、一定のスパンで振り返るとその変化がよくわかります。
産業構造をしっかり見るという視点が欠けていると、株価が「いけいけどんどん」の時は良いのですが、下落し始めると銘柄選定に対し疑心暗鬼になるもの。そういう意味でも、なぜこの銘柄を買ったのかという説明を、自分に対してしっかりプレゼンできることが、長期投資で持ち続けるための必要条件なのではないでしょうか。