旅する投資家 長期投資の王道

優良株の下値を恐れず買い向かえ!

積立王子のヤング投資入門(セゾン投信中野社長)

■親世代の生き方はもう参考にならない
 この間、すなわち「成長しない経済」の中で進んだ変化は、終身雇用・年功序列に代表される日本的経営の崩壊であり、永久不滅と思われていた有名大企業が次々と消えて行く光景でしたが、それも今では日常茶飯事になりました。それでも親世代、とりわけ団塊の世代と呼ばれる人たちの多くは、20世紀の余韻で何とか無事定年を迎え退職金を手にすることもできましたが、こうした社会通念はいよいよ終焉(しゅうえん)間近です。
 デフレが20年も続いてしまった社会に生きていれば、人は誰しも成長を前提にした未来を想定することができなくなります。ですからヤング世代が自分たちの将来に不安を覚えるのは、親世代の常識との乖離(かいり)が甚だしく、かつ急速に進行したため当然のことと言えるでしょう。
■経済的不安の克服には「経済的自立」しかない
 50代以上の親世代までは、よって立つ社会が経済成長を前提としたいわば「上りのエスカレーター」だったため、そこに乗っている人は皆相応に豊かになれたわけですが、ヤング世代がよりどころとするこれからの日本社会は、ともすれば「なだらかな下りエスカレーター」だと覚悟すべきです。より豊かな人生を得るためには、自分自身の足を動かして階段を一段ずつコツコツ上っていくしかない、と認識すべきでありましょう。
 親世代がヤングだった頃、20世紀の終盤には日本経済は奇跡の成長を遂げて、生活者みんなが相応に豊かになる「一億総中流社会を実現しました。そうした環境の中では、人並みに生きることが是とされ、周囲から突出しないことが美徳とさえ考えられていました。しかし、経済成長を前提とできない現在のヤング世代は、さらなる豊かさを得るためには突出して行動することが必須であり、もし行動せず立ち止まったままでいたら、将来の結果は大きく違ってしまうことでしょう。よって立つ社会は下りエスカレーターなのですから。世間はこれを「格差社会」と呼びたがりますが、筆者はこのように行動した人としなかった人の結果が違ってくる今後の世の中をこそ、健全なる「適者生存社会」だと考えています
 今回はわざと厳しいことを書きました。社会全体がより豊かになる未来を思い描けないヤング世代には、漠然たる不安があって当然であり、それは何よりも「経済的不安」であるに違いありません。筆者にもよく分かります。しかしその不安を克服するためには、「経済的自立」を獲得するしかないのです。そして行動すべき手段はひとつ、自らのお金を、将来に向けて大きく育てていくことだと気付いてください。それが「資産育成」です。

 日経マネー研究所のコラムにセゾン投信でおなじみの中野社長が登場です。「ヤング」向け(苦笑)の投資入門でありますが、旅する投資家も大変共感できる内容でした。特に、
 ①親世代と現代では経済環境が全く異なる→下りのエスカレーター
 ②現代は「格差社会✖」ではなく「適者生存社会〇」である
 ③これからは資産育成によって「経済的自立」を果たすことが大事
なぜ自分が旅する投資家を目指すのか、改めて考えさせられるそんなコラムでした。