北朝鮮の輸出「９割削減の効果」　一連の国連制裁

2017/9/12 20:01
［日経新聞電子版］

　制裁のポイントは、石油精製品の輸出を大幅に削減することだ。北朝鮮は国内に製油所を持ち、輸入した原油を加工して軍事目的に使うガソリンなどを作っている。石油精製品の輸入が減れば、軍が使うガソリンなどを賄うには、企業活動や生活に使う製品の生産を犠牲にせざるを得ない。

　石油製品の原料となるコンデンセート（超軽質油）や天然ガソリン（ＮＧＬ）も全面的に輸出を禁止した。北朝鮮の工業・軍事活動に欠かせない石油調達の削減に向け、二重三重に網をかけた狙いがうかがえる。

　石油を制裁対象に加えたことで、将来の制裁強化にも道筋がついた。安保理の北朝鮮制裁決議は今回が９回目だが、石油供給に規制をかけたのは初めて。もし北朝鮮が核実験や大陸間弾道ミサイル（ＩＣＢＭ）の発射に踏み切れば、米国が制裁を一段強めて石油の全面禁輸を改めて提案する足がかりとなる。

　国連の対北朝鮮決議の内容を好感して、株式市場は再びリスクオンに傾きました。背景には緻密に練られた米国の制裁決議（案）があるようです。

②石油の輸入制限をかけて、北朝鮮の将来の軍事開発にじわりと打撃を与えた。

③今後、ミサイル挑発が行われれば、「石油の禁輸」に踏み切るという強烈な脅しをかけることに成功した。

ということで、ここまでは米国の外交的勝利とみて間違いありません。あとは北朝鮮側がどういう反応を示すかですが、頼みの中露が制裁決議に賛同したため、軍事的挑発はかなりやりづらくなったことは確かです。

　さて、下値から５００円近く値を戻した日経平均ですが、「戻り売り」をこなしながら再び２万円の頂に立つことができるのでしょうか？